2013年4月14日日曜日

傷つきすぎず、傷つけすぎないように - 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上 春樹)



村上春樹の新作を読みました。
とても面白かったです。
心の旅でした。

ネタバレ防止のため、あらすじは書かず、いきなり感想を書きます。

(心が)傷つくこと、傷つけること、が一つのテーマになっています。
主人公は、ものすごく深い心の傷を負っています。

先のエントリで、
「本からは悪い意味でも影響を受けすぎることがあるが、刺激の強い本を避けすぎるのはつまらない」
といったこと書きましたが、これは人間関係も同じですね。

まともな大人になっていくには、人と付き合わないといけません。
浅い付き合い、深い付き合い、どちらも必要になります。

深く人と付き合うと、どうしても傷つけてしまったり、傷ついてしまう。

それを避けすぎるのはつまらない。
容易に逃げてはいけない。
しかし、それが取り返しのつかない心の傷にならないようにしなくてはいけないと、これを読んで思いました。
傷つく側であっても、傷つける側であっても。

で、どうすれば良いか。
考えたことは2つです。

1つめは、
心が傷つきすぎないように距離などをコントロールすると良いということ。
そのまんますぎるか。
昔は、「考えたことは真っ直ぐぶつけるのが良いのだ」等と考え、こういうコントロールをするのは小賢しいことだと思っていました。
しかし、純粋なだけではだめです。
今は逆に、こういうコントロールが出来るからこそ、人と付き合えると思っています。

余談ですが、最近、SNSとか、それを利用した勉強会の類が隆盛していますが、ここまで人気がある一つの理由は、つながりが緩やかであれば、傷つきすぎることを回避できるからなのではないかと思っています。

2つめは、傷つくことに慣れるほうが良いということ。
傷つきすぎては生きていけませんが、ナイーブすぎても生きていけません。
全く傷つかないのは無理です。いきなり深い傷を負わないことが重要です。
色んなところで(コントロールしながら)少しずつ傷ついているうちに、対人関係でうまく振る舞えるようにもなり、多少のことでは傷つかない人間になっていくのだと思います。


ということで、とても面白かったのですが、これまで人を傷つけたこと、自分が傷ついたことが思い出されて、少し苦しくもありました。


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追記1
必要なこと3つ目がありました。
それは、
傷ついたとき、最速で立ち直る
ということ。
いずれ、またまとめて書きたいです。

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追記2
村上春樹の描く人物というのは、基本的にナイーブすぎるので、私も1冊読んですっかりナイーブなモードに入っていました。
これが、村上春樹の小説の危険なところです。

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